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八月。 蓬莱の人の形も うだるような猛暑の中、全国の都道府県の代表48校が凌ぎを削る、過酷な大会が開催されていた。 ~全国高等学校ゆっくり野球選手権大会~ 即ち、ゆっくりをボールにした野球(通称ゆ球)の大会である。 高ゆ連が採用したゆっくりボールは、小麦を何重にも塗り重ねて外皮を強化した ゆっくりである。丈夫で安全なゆっくりボールは、安全性を追求する世間の風潮に対応するための、会心の策であった。 また、繁殖して生まれた子供達も強化ゆっくりとなったため、資源や経費の節約にも多いに役立ったのである。 本日はその大会の一回戦第二十四試合。この試合で二回戦に進む24校が決定するのである。 一回戦最後のカードは東方義塾vs幻想学園。 東方義塾がここまでこれたのは、エースピッチャーのおかげである。 その名は虐待お兄さん。3年生であり、今年が高校生活最後の夏である。 エースのエースたる所以はその変化球にあった。 今大会で使用するボールは、高ゆ連により れいむ種に統一されている。 ピッチャーはそのリボンや口に手をかけて、ゆっくりを投じる。 以前の硬球以上の引っ掛かりがあるため、様々な魔球が大会を彩っていった。 虐待お兄さんも、そんな魔球の1つの使い手である。 ナックルボールの要領で投げる、"ゆっくる"である。 ゆっくりの後頭部に爪をつきたて、はじくようにゆっくりを投じる。 ほぼ回転の無いゆっくりは、その気分に任せてわずかながらの空中制御し、自然とバットを避けようとしてくれるのだ。現代が生んだ最強の魔球であるといえよう。特に、虐待お兄さんのそれは爪の食い込みと弾きが強く、ゆっくりをゼロ回転で投じることができるのだ。 さらに、虐待お兄さんはその投球の9割以上"ゆっくる"を投げる、 生粋のゆっくるぼーらーなのである。 その圧倒的な魔球に、この試合にもプロのスカウトが多数視察に来ているほどである。 対する幻想学園は、その打撃力を売りにしてここまで勝ち上がってきた。 特に1年生にして4番をつとめる稗田阿求朗・通称あきゅろーもまた、プロの注目を集める人物だった。 あきゅろーのバッティングセンスは恐ろしいほどで、1年生ながら県大会では打率9割という驚愕の成績を残している。 まさにゆっくりを打つために生まれてきた、ゆ球の申し子なのである。 そんな2人の対決は、球場を大いに沸かせていた。 この日の対戦成績はここまでで1安打2三振。 試合は9回裏を向かえ2-1でわずかながら東方義塾がリードしている。 幻想学園は あきゅろー以外の選手は、魔球"ゆっくる"に対しほぼ手も足も出ず、あきゅろーの出塁をきっかけにどうにか1点をもぎ取ったという状態だった。 迎えた9回裏、1アウトを取った後、虐待お兄さんは痛恨のフォアゆっくりを出してしまう。 虐待お兄さんはその疲れからか、ゆっくりを握る手がつい震えてしまっていた。 投球直前に発情してしまったゆっくりは、謎の液体を分泌して、虐待お兄さんの投球コントロールに悪影響を及ぼしてしまったのだ。 9回裏で1点差。1アウトランナー1塁。 迎えるバッターは、あきゅろーである。 『大丈夫、今日はこっちが押してる。』 虐待お兄さんは心の中でつぶやく。 あきゅろーだけを警戒するのであれば敬遠という手もあるのだが、1アウト1・2塁ではあきゅろー以外の選手相手でも失点の恐れがある。 間近に向かえようとしている自らのスタミナの限界を考えると、同点も避けたい状況であった。 次の投球を控えて、虐待お兄さんは儀式を行う。 自身の心を落ち着けるために、ボールに向かって独り言をつぶやくのである。 「もし打たれたら、お前の家族全員バットで100叩きだからな!」 ……自身の心を落ち着けるための儀式なんだってば。 「あかちゃんはだめええええええ!!」 そう叫ぶゆっくりを握り、魔球”ゆっくる”を投じる。 ゼロ回転のゆっくりは、どうにか あきゅろーのバットを逃れようとキャッチャーミットに逃げ込む。わずかに届かず空を切るバット。 ストライク。 キャッチャーミットに辿り着いたゆっくりは興奮気味に語る。 「ゆ! いますっごい! すっごいかぜきたよ、おにーさん!」 先ほどまで泣いていたのが嘘のように、楽しそうである。 続いての投球。外角低めのストレート。 「ゆ”ゆ”ゆ”ゆ”ゆ”ゆ”ゆ”」高速回転するゆっくりは空中制御などできるわけもなく、真っ直ぐにキャッチャーミットに吸い込まれていく。見逃し。 ツーストライク。 「ゆ、おにーさん……きぼぢわるいよぉぉお……」 イケメンキャッチャーは構わず虐待お兄さんにボールを投げ返す。 あと1球。あきゅろーさえ抑えれば何とでもなる。 虐待お兄さんはその魔球に絶対の自信を持っていた。 この大会、優勝してプロに行く。 その野望が虐待お兄さんの疲れきった身体を、再度燃えさせた。 観衆が固唾を飲んで見守る次の投球。 球種はもちろん"ゆっくる"だ。 セットポジションから投じた1球。 『ゆゆ、おにーさんのばっとなんてあたらないよ! ゆっくりからぶってね!』 とばかりに見下した表情で、ゼロ回転で迫るゆっくり。 その表情を目にした瞬間、あきゅろーの中の何かが弾けた。 「ゆべぇっ!」 避ける暇すらないスピードのバットスイングがゆっくりを襲う。 ゆっくりの急所である顔面の中央を打ち抜く、完全なるジャストミート。 元が球体状の物とは思えぬほどひしゃげる、ゆっくりれいむ。 次の瞬間にそれだとわかるほどの、文句の付け所の無いホームランであった。 ガックリと膝を突く虐待お兄さん。 「なんでごんなごどずるのおおおおおおお!!?」 ゆっくりはそのままバックスクリーンに直撃した。 試合は2-3で幻想学園のサヨナラ勝利。 虐待お兄さんの高校ゆ球生活は終わった。 人目をはばからずに涙を流し、マウンドの餡子を袋に詰めていく虐待お兄さん。 その様子を見て、少し申し訳なさそうな表情を見せながらダイヤモンドを回るあきゅろー。 あきゅろーも、虐待お兄さんには何か通じる所を感じていたのであろう。 あきゅろーは その後審判と係員に頼み込んで、ホームランとなったゆっくりを回収した。 バックスクリーンに落ちていたそれには、まだ息があったのだ。 最初の強化ゆっくりを丹念に作り上げた、職人達の成せる業である。 あきゅろーは 球場を後にしようとする虐待お兄さんに声をかける。 「あの……これ、使いますよね?」 そういってホームランゆっくりを手渡すあきゅろー。 「ありがとう、助かるよ。よかったら一緒にくるかい?」すでに心が通じ合ってることを理解する虐待お兄さん。 その手には係員に無理を言って譲ってもらった、先ほどのホームランゆっくりの家族達を詰めた箱がある。そう、虐待お兄さんは有言実行なのである。 「是非お供させてください。よかったら、妹も同行させてよろしいでしょうか?」うれしそうに応える あきゅろー。 そこに勝者と敗者の壁など無い。 ゆ球を通じて、心の交流を果たした2人の球児達の、心温まる風景であった。 このSSに感想を付ける
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※スレの絵とコメントを見て書いてみた 『新ゆっくり製品販売!あらゆる家具がゆっくりに!?』 そんな広告を見た俺は、どんなものか気になったので見に行くことにした。 加工場が経営している販売所へ向かう。あまりに早く着いたおかげで、まだ開店準備の真っ最中だ。 たまたま店の準備をしていた店員に出会うと、少し早めに見物させてもらえると言う。 そんなわけで中に入ってみた。 が、中にあったのは箪笥やちゃぶ台、本棚といった家具。 ……さて、これのどこがゆっくり製品なんだろう? とか思っていた時だった。 「ゆっくりしていってね!」 突然、俺の近くからゆっくりの声がした。 が、声をしたほうを向いてみると、『木れいむサンプル』とかかれた札。 そして、そこらへんに立っているような木にゆっくりの顔を貼り付けた変なもの。 サンプルの立て札に、ちょっとした紹介と特徴も書いてあった。 要約すると、ゆっくりが出産の際蔓を生やすなら、ゆっくりが花を咲かせられるのではないか? と考えた研究者が実験の末に生み出した新種らしい。 結果としては花が咲くことはなかったが、その代わりがこの木れいむだそうな。 たまたまれいむ種で研究していたそうだが、他の種で可能なのかは現在研究中だとか。 いくつか貼ってある写真には、他のゆっくり研究者達。協賛には永遠亭の名前もあった。 特徴として分かっているのは僅かで 一見普通のゆっくりだが、妊娠して蔓を伸ばしだすと母体のゆっくりも木に変異する。 ある程度木として成長すると、普通のゆっくり同様蔓出産をする。 生まれた子ゆっくりは、一定の成長をしないで潰されると親同様の木として成長する。 くらいらしい。 説明をしばらく読んでいると 「でいぶのからだがあ゛あ゛あ゛!?」 なにやら騒がしい。後ろを振り返ってみた。 「もとにもどじでえ゛え゛え゛!!」 「なんでごんな゛ごどにい゛い゛い゛い゛い!!」 ここでやっと俺は理解した。 つまりこいつらは、この木れいむでできた家具というわけか。 今まで静かだったのは、ただ眠っていただけのようだ。 せっかくなので、製品も観察してみる。 最初に目についた箪笥を見てみた。 五段の引き出しがあり、真ん中の三段目にゆっくりの顔がついている。 展示品は汚さなければ少々いじってもいい、とのことだったので、遠慮なくいじってみた。 「おにいさん……れいむをもどして…………」 そんな懇願を気にせず、一発殴ってみる。 「ゆ゛うっ!!いたいよおにいさん、なにするの!!」 変形しても痛覚は残るらしい。なら引き出しを引っ張ったときはどうなるのだろう。 顔の部分の引き出しを引っ張ってみた。 「ゆ!!おそらをとんでるみたい!!」 ……あれ?てっきり痛がると思ったんだが。 そう思いながら木れいむの顔を観察してみた。 顔は飾りではなく、感覚器官として動いていた。触った感じもこのあたりだけ少し柔らかい。 動けるころの名残かゆっくりが食べられるものも一応食べるらしい。 ふと、ある考えが頭をよぎった。 さっそく実験をしながら、しばらくれいむをなでたりして遊ぶ。 しばらくは俺に気を取られていたれいむだったが、少し落ち着かない様子で 「おにいさん!れいむをもとにもどしてね!!こんなかたちはゆっくりできないよ!!」と言ってきた。 さすがに木れいむの状態に戻すことは俺でもできないため、引き出しを押し込めた。 ……さっきからずっと蹴りをいれた箪笥に。 「ゆぐううううううう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!?!?」 やっぱりだ。こいつは顔のある部分だけ感覚がある。 つまり、顔と他の木の部分を切り離すと、顔は木に受けたダメージを感じない。 だが顔を木に戻すと感覚が繋がってダメージが顔にも伝わるという訳だ。 「いだいよお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 痛いのはこっちだ。感触がまんま木なので蹴ったりすれば俺も痛い。 虐待お兄さんなら話は別かもしれないが。 その日、俺は木れいむ製の小さなテーブルを買うことにした。 ここまでさせておいてもらって何も買わないってのは、ちょっと気が引けたからな。 「むーしゃ、むーしゃ……」 使ってみるとこれがなかなか便利だ。 基本的に放置していても平気だそうだが、テーブルにこぼした水や食べカスなんかは口に持っていけば処分してくれる。 虐待したい時には適当に物をぶつけたりすればいつでもゆっくりの悲鳴が聞ける。餡子の始末が面倒という人には、気軽に虐待ができると評判だ。 廃棄するときには、砕いて薪にでもすればいい。 『ゆっくり家具第二弾!!ご要望の多かった小さな家具も実現!!』 そんなチラシをテーブルに伏せると、俺は出かける準備を始める。 その中身を理解したテーブルれいむは、使われだしてから久しく涙を流した。 終 レスを見てすぐに書き出したのにすでに先を越されてた……ゆっくりしないで書いた結果でもこれかよ! このSSに感想を付ける
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ほんのり俺設定注意 平日の朝。 会社や学校に向かう前の支度に追われる、一番忙しい時間帯。 母は朝食と弁当を作り、次女は身支度の真っ最中。父は新聞を読んでいる。 そんな慌しい情景の中、部屋の片隅に置かれていた透明な箱から声が上がる。 「ゆ~!れいむのあかちゃん ゆっくりうまれてきてねぇ~!」 「とってもゆっくりした あかちゃんなんだぜっ!」 れいむとまりさが水槽の中に入っていた。頭には3体のあかちゃんが実っている。 大きさは上々。そろそろ生まれ落ちてくると見て間違いは無い。 そわそわと心躍らせながら、赤ゆを熱く見つめている。 2階から騒がしく階段を降りる音が聞こえて来た。 あまりの騒音にゆっくり達は不満顔。 「うるさいよ!」「あかちゃんがいるんだよっ!」などと口煩く騒ぎ立てるが、誰も相手にしない。 階段を転がるように降りて来たのは長女だった。 遅刻しそうだから朝ごはんはいらない。と伝えているらしい。 それを聞いた母は「しょうがない子ねぇ」と言いたげな優しい微笑みをしながら、 ある言葉を娘に伝えた。その後、長女は小走りで水槽へと向かう。 「ゆっ!あかちゃんをみてゆっくりしたなら あまあまをちょうだいね!」 「れいむはあかちゃんいるんだよ!いっぱいたべるのはとうぜんのけんりだよ!」 昨日の夕方頃。れいむ達はこの家に来て、「ゆっくりぷれいすにするよ!」宣言をした。 暫らく待ったが、何処からも反論が無い。だからここはれいむ達の家だよ! 一緒に住ませてやってる人間達は、透明なゆっくり出来る別荘を作ってくれた。 昨晩はすっきりしてあかちゃんを宿し、美味しい物をたらふく食べた。 れいむ達は幸せの頂点にあった。 お互いに美ゆっくり(ゆっくり視点)で食べ物も人間が持ってくる。 素晴らしいゆっくりぷれいすを手に入れたのだ。 「はやくあまあまをちょうだいね!ぐずはきらいだよっ!」 「ゆっ!?あかちゃんがうまれそうだよっ!」 「ゆゆっ!?ゆっくりうまれてきてねっ!」 かわいい子供が生まれる。これでますますゆっくりできる! そんな期待を込めつつ、赤ゆを熱く見つめた。 小刻みに震え、声を漏らしながら誕生しようと頑張っている赤ゆ。 それを見るれいむ達は涙が滲む。 最高の挨拶を返す為に大きく息を吸う。 ついに待ち望んだその時が訪れる! 『『ゆっ?』』 …赤ゆが消えてしまった。れいむ達は呆然とする。 辺りを見渡すと、生まれ落ちようとした赤ゆを、何故か人間が指で摘んでいる。 そして、小さな唇を開いて赤ゆを口の中に放り込む。 赤ゆを租借しながら、長女は慌しく家を出て行く。 その後を追う様に父と次女も家を出る。 そこでようやく、れいむとまりさは理解した。 目の前で可愛い赤ちゃんが食われた事を。 「れ…。れいぶのあがぢゃんがーーっ!?」 「うわぁあ゛ぁぁぁぁっ゛!?」 そんな混乱状態の中で残りの2匹が生れ落ちる。 2体の赤ゆは満面の笑みで挨拶をした。 『『ゆっくちちていっちぇねっ!』』 「ゆっ…!?ゆっぐぢじでいっでねぇえーーっ゛!」 「じでいっでねぇーーーーっ゛!」 赤ゆ達は最高の挨拶をしたハズだった。 親達は滝のように涙を流し、口周りは涎でベトベト。 嬉し涙ならそれで良かった。だが、これは幾分雰囲気が違う。 とても喜んでいる顔には見え無い。 ちょっと不安になる。何かイケナイ事をしてしまったのか? 理由を聞いてみよう。そう思って言葉にしようとした時、 部屋の奥から大きな何かが、こちらに近づいてくる。 すると…、親の形相が鬼へと変貌する。 「ばがぢゃんごろじはゆっぐりじねぇーーっ!」 「どぼじでごんなごどずるのーっ!?」 ある程度、赤ゆは悟った。 自分が嫌われてる訳では無いみたい。この人間さんが悪いらしい。 ばがじゃんって、何…?。そんな事を考えている時に、自分のあんよが地面を離れた。 そのまま空へと体が昇っていく。 「おちょらをとんじぇるみたいっ!」 反射的に口にする。それを言うのが当然かのように。 下を見ると親達が凄く怒っている。 「ゆっ!?ゆっくりはなしてねっ!」 「あかちゃんかえしてねっ!」 何故そんな事を言うのだろうか?自分達が可愛いから、遊んでくれたんだよっ。 隣を見ると妹が、「みゃみゃたちは じゃまちにゃいでねっ!」と親に吼えている。 確かに楽しい。ウキウキする。ゆっくりこの感触を味わいたい。 自分も同じ事を言う為、口を開いたその時…。 妹は笑いながら、人間の大きい口に吸い込まれた。 人間の頬がモゴモゴと動き、そこから苦しげな妹の声が僅かに掠れて耳に届く。 呻き声が途切れた後も、じっくり租借してから喉を鳴らす。 再度、大きく口を開く人間。その中を赤ゆは覗き込む。 口の中に妹が居ない。妹が飲み込まれた事をやっと理解する。 「ゆっ?ゆゆっ!」 恐ろしい。どうしてこんな事をするのか!? それを問いかける時間も与えて貰えない。生温い舌の上に乗せられた。 端目に見える外の世界。それが上下から迫る蓋で閉じられていく。 その後、訪れたのは頭上と顎の下からの激痛。赤ゆは噛まれて真っ二つになった。 「ゆ゛じっ゛!?あ゛ぁあぁぁぁっ゛!」 苦しそうな声など気にせずに、数回租借される。 この赤ゆも、「もっとゆっくちしたきゃったよ。」発言も出来ないまま、短いゆん生を終えた。 妹と同じようにただの餡子の塊となって、喉を通り胃に落ちていく。 親達は大激怒である。 おチビちゃんが全員天に召された。 とってもゆっくりした赤ちゃん達だったのにっ! それも、目の前で全部人間に食われると言う悲劇。なんて事だっ! ギャーギャーと口汚く親達は罵声を吐く。 すると、れいむ達の別荘に皿が置かれる。 その中には美味しそうな食べ物が入れられていた。お詫びのつもりなのだろうか? それを見て、幾分か怒りが収まる。 「あかちゃんいなくなっちゃったよ…。」 「…またゆっくりしたあかちゃんつくろうよ」 まりさはれいむを励ました。 多少元気が出たのか餌を食べ始める。 それを見て満足そうに母は小さく呟く。 「助かるわー。残り物食べさせるだけで喜んでくれるなんて。」 れいむ達は聞こえていない。 美味そうに野菜クズや残飯を平らげていく。 夜7時からの2時間全国放送。体に良い食べ物の特集。 別に珍しくない番組構成だったが、衝撃的な内容が話題を集めた。 朝食に赤ゆっくりだけ口にする。 そうすると中枢餡の作用でなんたらかんたら。 眉唾で嘘臭い構成内容の放送だったが、体験談と学者のデーターで洗脳された視聴者。 次の日から軽いブームが訪れる。 野良と生餌用を口にするのは抵抗があったので、どの家庭でも赤ゆを自家栽培して口にする。 ハーブ感覚で育てられる手軽さが好評のようだ。 れいむ達は餌を食べ終わる。 皿の周りは、食い散らかしの食べ物で汚くなっている。 優秀なゆっくりでは無いらしい。 「ぺーろぺーろするよっ!」 「きれいになったねっ!」 口の周りの食べカスを互いに舐めとった。 それぞれの綺麗になった顔を満足そうに見つめて、肌を擦り合わせる。 「おなかいっぱいだねっ!」 「とってもゆっくりできるねっ!」 「すーり!すーり!」 「すーり!すーり!」 『『ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!』』 『『んほぉおおぉぉぉぉぉぉぉぉっ゛!』』 れいむの頭に茎が生えて赤ゆが実る。 ぺにまむタイプの交尾を、お茶の間や台所でやられると流石にキツイ。 お年頃の娘が居る家庭ではなおさらだ。家族の仲に壁か溝が生まれることは確実。 そこで、すりすりタイプのゆっくり栽培用セットが販売された。 この一家も、迷い無くこのセット品を選択。 数ある中から一組のゆっくりを購入する。 れいむ達は、あかちゃんが可愛いから選んだに違いない。と確信していた。 しかし、その考えは誤りだった。 母が早く食べてみたいから、赤ゆが実っているのを指名しただけ。 まぁ、赤ゆで選んだのには間違いは無いだろう。その理由は全く違った内容になるが。 「れいむのあかちゃんとってもゆっくりしているよー~!」 「とってもかわいいんだぜっ!」 幸せな笑顔で、赤ゆっくりに言葉を掛けるれいむ達。 その後、キラキラした目でまりさはれいむにお願いをする。 「ま…まりさもあかちゃんほしいんだぜっ!」 「ゆっ!もっとゆっくりできそうだねっ!」 「れいむーっ!すーり!すーりっ!」 「まりさーっ!すーり!すーりっ!」 『『すーり!すーり!すーりっ!! ゆっ!ゆっ!ゆっ!!』』 『『ん゛っほぉおおぉぉぉぉぉぉぉぉっ゛!』』 まりさの帽子を押し上げて茎が伸びて来る。 そして、赤ゆが数体実り出す。 「とってもゆっくりしてるよぉぉぉぉぉっ゛!」 「まりさのあかちゃんゆっくりしていってねぇえぇっ゛!」 れいむ達は歓喜の叫びで、赤ゆ達を祝福する。 それを見ながら母も微笑む。 明日の朝にみんなで食べる量が生えてきて安心したわ。 本当に便利よね。ゆっくりって。 ゆんゆん言いながら嬉しそうに微笑み、 素晴らしい赤ちゃんと過ごす未来に胸を躍らせる 『『はやくあかちゃんとゆっくりしたいねっ!』』 その願いは天に届かない。 明日の朝は、赤ゆ丸齧りパーティー開催予定。 明後日と明々後日の朝も。 パーティーは、ブームが過ぎ去って家族が飽きるまで続けられる事だろう。 「むーしゃむーしゃ幸せーっ!」 「ふむ…。なかなかイケルな。」 「本当に効果あるの?もぐもぐ。」 「あら。テレビの情報だから間違いないわよ。パクパク。」 「ばがぢゃんだべちゃだめぇえぇぇぇぇっ゛!?」 「どぼじでごんなごどずるのぉおぉぉぉぉぉっ゛!?」 終 「れいむとまほうのいた」 「金バッチ品質保障証」 「まりさは優秀な劇団員」 「ぬし」 「スィーらいせんす」 このSSに感想をつける
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ゆっくり戦争 ある年ある時、A国がX国に対して宣戦布告した。 X国は戦いを拒み平和的に解決しようとしたが、A国はそれを拒否した。 しかしX国は小国で、武器や兵士も少ない。 これでは圧倒的虐殺ではないかと提案されたのがゆっくり戦争である。 ゆっくり、というのは元々いつの間にかいた珍獣らしきもので、体は餡子でできている。 研究に研究を重ねて人工的にゆっくりを作る事も可能にし、これを実践投入すればまさに人間に被害のない平和的に戦争ができるという事だ。 元が餡子なのでコストも低く、量産する事ができる。 A国もゆっくりを使う事を合意した上で戦争が始まった。 A国領土の離島付近。 「今日は実戦だ! 何時死ぬかわからないし何時敵が来るかもわからない! だが、お前たちは過酷な訓練を勝ち抜いてきた兵士だ! 今日ここで我々にゴミクズと呼ばれていたお前らは立派な兵士となる! 行け!」 教官の合図とともにボートが発進する。 ボートの数はおよそ100、ゆっくりが10人入ると計算して1000匹ものゆっくりがボートに収納されている。 「ゆっ! いよいよだね!」 「れいむたちからおかしをとったやつらからしかいしするときだね!」 なにやら勘違いをしているようだが、これも教官の刷り込みである。 ゆっくりたちにとっては、敵は『ゆっくりプレイスに侵入してくる悪いゆっくり』なのだ。 「ゆゆ! 見えてきたよ!」 「みんないくよ!」 島が視認できる頃、轟音が鳴り響く。 ゆっくりまりさ二等兵がボートから顔を覗かせると、他のボートが沈んでいた。 「だずげべえ゛え゛え゛え゛え゛ぇぇぇぇ」 「じにだぐだい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!」 沈むボートに取り残されたゆっくりたちは悲鳴を上げるが、波に飲まれて消えて行く。 まりさ二等は歯軋りをして船の先頭についてある機関銃の上に乗った。 構造は普通の銃とは変わりない。 だが、手のないゆっくり達のためにボタン式の銃となっている。 つまり、機関銃の前に立ってジャンプをすればフルオートで弾が発射される仕掛けである。 「ゆっくりしね!」 ジャンプすると轟音が鳴り響き、機関銃から弾が発射される。 それを見たほかのボートのゆっくり達も、機関銃に乗って弾を乱射する。 島から襲い来る雨のような弾丸にボートの中にいるゆっくり達も被弾し死亡する。 そして。 「りくちだよ! みんなおりてね!」 まりさ二等が叫び声を上げ、武器の槍を装備する。 槍といっても木を斜めに切っただけという質素なもの。 ゆっくりの戦争に通常兵器など使ってられない。 機関銃の弾も、コストが低い特殊なものを使っている。 「ゆゆ! わかったよぶべぁ!」 出てきたれいむ一等兵が被弾し頭が砕け散る。 島の防衛ラインからの攻撃だった。 「いそいで! はしらないとたまにあたるよ!」 まりさ二等を先頭に、ゆっくり達は走り出す。 他のボートからもゆっくり達が飛び出し、撃たれながら進む。 「ゆあああああああ!!」 叫び声とともに丘に登り、防衛ラインにいたゆっくりれいむを突き刺す。 「ぎゅげっ!」 悲鳴とともに絶命する敵れいむ。 だが、仲間のゆっくり達がすぐに槍を持ってまりさ二等に突っ込んできた。 「まりさあぶない!」 突っ込む敵ゆっくりをありす二等が刺し殺す。 もしありすが助けなければ、まりさ二等は串刺しにされていただろう。 「ありがとうだぜありす!」 「べ、べつにあんたのためなんかじゃないわ! てきがいたからたおしただけよ!」 戦闘中によくそんな悠長なことがいえたものだ。 まりさ二等の班は、もう3匹しか生き残っておらず、まりさ二等、ありす二等、れいむ一等のみとなった。 A国上陸別地点。 れいむ伍長率いる班は、弾丸の雨から抜け出せずにいた。 彼女の班に新兵達も、がくがくと震えているだけだ。 使えない奴ぞろいだ、とれいむは思った。 「もうげんかいだぜ! まりさはいくぜ!」 「だめだよ! いまいったら――!!」 業を煮やしたまりさ新兵が制止を無視して雨の中を駆け抜ける。 だが、すぐに被弾して体から餡子が噴出した。 「ぎゅぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 悲鳴を上げてまりさはのた打ち回る。 れいむ伍長はそれを冷ややかな目で見た。 どうだ、命令違反をすればこうなるんだ。 「たいちょう! まりさをたすけてください!」 「まだいきてるよ!」 他の新兵たちは助ける事を要求する。 だが、れいむはそれを却下した。 「ばかなこといわないでね! みんないまたすけにいったらぜんめつだよ!」 「うるさいよ! ひとごろしのたいちょうはしね!」 ぐさり、とれいむの頬に槍が刺さる。 「ばがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!! だれをねらっでるんだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 れいむの叫びを無視し、新平たちは上官を刺し殺した。 自分達ならやれるはずだ。 こんな無能な上官の言う事など聞いてられるか。 そう皆が思い、まりさの救出に向かった。 「まりさあああああ! たすけにきたよおおおおおおお!!」 「ゆぐひゅ……ぐひゅ……」 息も絶え絶えのまりさ新兵のもとへ、他の新兵達が集まる。 「だいじょうぶ?! いまたすけてあげびゅばがばっ!!!!」 笑顔で元気付けようとしていたれいむの顔が吹き飛ぶ。 残ったのは焼け焦げた匂いとれいむの下半身だけだった。 「れいむうううううううううう!!!」 「いそいではこぼうね! みんなはやく!」 急いで傷ついたまりさ新兵を抱きかかえ、海岸の岩陰に隠れようとする。 だが、ゆっくり一匹分を担いでいるゆっくりなど、ただの的だ。 「ゆ! あそこでのろまなやつがいるよ! ばかだね!」 敵まりさは新兵達を見つけてそこに機関銃を向ける。 「ばかなゆっくりたちはしね!」 そしてジャンプをした。 鉛の雨が新兵達を貫く。 「ゆがががががががががっががあがががげあがげあえげげあげ!!!!!」 「だずげばびょべばっ!!!」 「ゆ゛っぐじじぢゃぎゃっだびょお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!」 こうして、仲間の命を優先した新兵たちは死に、任務遂行を第一に考えたゆっくり達は生き残った。 皮肉な事だが、これは戦争なのだ。 ■■■ 「我が国の海岸の離島が制圧されました!」 通信兵が上官に告げる。 もちろん人間だ。 「糞! ゴミクズ共め! 自分の国さえ守れんのか!」 それは間違っている。 ゆっくり戦争をする上での条約がある。 一、戦争にはゆっくりを使う。人間はサポートのみとする。 二、兵力は均等にする。もしこれを違えた場合は人間を実戦投入する。 三、使う武器も均等に、さらに平等にする。槍と機関銃、爆弾のみとする。 四、ゆっくりが人間を攻撃した場合、敵国であれど問答無用で射撃して良い。 つまり、ほぼ五分五分の戦いなのだ。 つまり、この戦争において重要なのは上官がいかに有能かということにゆだねられる。 もし突撃しか知らない上官が知識をもった上官に挑もうとすれば、当然知識を持った者が勝つのだ。 兵力の問題や兵器の問題ではない、指揮する人間に問題がある。 「離島はあとで取り戻す! 国境ラインに防御を固めろ! クズ共にわが国の恐ろしさを思い知らさせろ!」 A国国境ライン。 「いいか? 俺たちは空のタクシーだ。 塹壕まで連れてってやるから後は自分達で何とかしな!」 「ゆっ! わかったよ!」 ヘリに乗せられたゆっくり達は国境ラインぎりぎりに位置する場所に掘られた塹壕に降ろされる。 その時、鉄を叩いたような音が響いた。 ヘリに弾が当たった音だ。 「おい、ちょっとそれとってくれ」 パイロットの隣にいた兵士がゆっくりに銃を求めた。 素直にゆっくりはそれを兵士に渡す。 「人間様にたてついた糞饅頭はどこだぁっ!」 ロープを腰に巻きつけ、ヘリの足の部分に自分の足をかける。 そして国境ラインに近づき発砲した。 「ゆぎょお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 「ぶべいだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 ライフルの弾が機関銃を撃った敵まりさの体を貫いた。 餡子を撒き散らし、目玉が飛び出て死亡する。 「はっ! たいした力もないくせに……、おい! 帰ったら酒飲みに行くぞ! うんと高い奴飲んでやる!」 「はいはい……」 撃ち終わった兵士たちは基地へと帰っていった。 塹壕にいたゆっくり達はそれを見て勇気付けられる。 「てきはばかだからおにーさんたちにころされたんだね! ばかだね!」 そして皆が笑い出す。 だが、それも轟音で掻き消された。 機関銃が塹壕に向かって一斉射撃されたのだ。 対抗しようと塹壕の中にある機関銃を放つ。 そして皆槍を持ち突撃した。 相手の国も、ゆっくりが突撃してくる。 「ゆぎゃっ!」 「じにだぐだにいいいいいいいい!!」 悲鳴、怒号、狂喜。 幾多の言葉が戦場に鳴り響く。 それはまるで音楽だ。 「しねっ! しねっ! しね!」 あるまりさはもう死んでいるれいむの顔に何度も何度も槍を突き立てる。 「うふっ、うふふふふふふ! うふふあははははははは!!」 恐慌状態に陥ったれいむは笑いながら銃弾の雨を浴びる。 「まりざああああああ!! ずっぎりじようねええええええええええ!!!」 気が狂ってしまったありすは、ゆっくりの死骸に向かって体を摺り寄せる。 阿鼻叫喚の戦場の中、みな思い思いに死んで行く。 決して自分が安らぐ事も知らずに。 戦いが終わった後の自分達の行方も知らずに。 じじいのファックの方が気合あるおまけ。 某国の基地にて。 「隊長、それなんですか?」 「さぁな、だがこれで射的の練習をしろだとよ」 隊長(CV:大塚明夫)が奇妙な生き物を連れてきた。 ゆっくりれいむとか言うらしい。 「人を殺すのに抵抗がある新兵にはもってこいだって教官が言ってたな」 「そうですか」 「ゆっくりしていってね! ゆっくりしていってね!」 隊長の足元でぴょんぴょんと跳ね回る。 俺はそれを掴んだ。 「はなしてね! ゆっくりはなしてね!」 喚きだすそいつに俺はすこしだけ苛立った。 なんだか知らないがこいつはすごくむかつく。 「で、どうするんですかこいつ」 「まぁ見ていろ」 そう言って隊長はゆっくりを野に放した。 不思議なものを見るかのようにあたりを散策し始めるゆっくりれいむ。 犬だったら可愛いかもしれないが特にそうは思わなかった。 突然、隊長が銃を構える。 そして。 「ゆっぐりでぎだいよ! だずけてね!」 「少し照準がずれてるな……、ちゃんと整備しろといっただろ」 「すみません」 頭を掻いて俺は謝る。 れいむはなにがおきたのか分からず恐怖のために逃げ出している。 隊長は狙いを定めた。 「三ミリずれてると考えて……この辺か」 ぱん、と一発の銃声が鳴り響く。 「ゆ゛っ!」 丁度れいむの後頭部を直撃して体から黒い物体を飛び散らせた。 近寄ってみると、丁度額の真ん中に風穴が開いている。 さすが隊長である。 「どうだ! 頭に当たってるか!?」 遠くで隊長が聞く。 「はい! すごいですね隊長!」 俺は素直に賞賛した。 「悪いんだがその死体は教授のところに持っていってくれ!」 「あ、はい、わかりました!」 俺は死骸を持って研究室と書かれた部屋へ向かう。 なかにはやせ細った眼鏡金髪の男がいた。 これが教授(CV:子安武人)である。 「おやおやさっそくゆっくりれいむで試し撃ちですかな? クークック」 この笑い方が癪に障るがとにかく死骸を渡した。 「これ、なんですか?」 そう聞くと教授は眼鏡を輝かせ俺にどアップで近づく。 「聞いて驚いてくれたまえ! これこそ我が生涯で最高傑作! 知能を持った饅頭なのだ!」 教授はくるくる回転しながら笑い出す。 そうとうマッドだ。 中の人もそうなので仕方ないが。 「はぁ、そうですか」 再びキラリと眼鏡が光る。 俺はそれを見て少し引く。 「きみぃ、わかっていないようだね? このまんじゅうのおもしろさを?」 「い、いえ……決してそんなこと――」 「ならば教えてあげよう! ゆっくりはもっとも人間に近づける事ができた生物なのである! チンパンジーやオランウータンなどではできなかった言語を喋る生き物!」 ぽちっとどこぞに仕掛けてあったボタンを押す。 床が割れて鉄板が現れ、うえからは透明なケースに入れられたゆっくりが現れる。 だが、さっきのとは違う黒い帽子をかぶった奴だった。 「おじさん! ここからだしてね!」 さっきのれいむと違う、普通に人間の言葉を喋っていた。 「これぞまさしく究極的に人間に近づいたゆっくりまりさである!」 「どこらへんがですか?」 「ふふん、良くぞ聞いてくれたよきみぃ。 ゆっくり! 仲間の居場所を吐けば助けてやるぞ!」 そう言うとまりさは体を膨らませた。 「いやだよ! そんなことできないよ!」 「ほほう、ではこんなことでも?」 ボタンを押すと水が流れ鉄板の上に流れる。 だが、一瞬にしてそれは湯気となった。 そこへまりさが落とされる。 「あじゅい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!! ゆっぐりでぎないよおおおおおおおおおおお!!!!」 悲鳴を上げるまりさ。 やかましいので少し耳を塞ぐ。 「これって動物虐待にならないんですかね?」 「問題ないのだよ、実はゆっくりはまだ動物としても認められていないからねぇ」 くいくいと教授は眼鏡を直す。 この程度だったら俺はまだ吐かないかな。 「いぎいいいいいいいいい!! あづいいいいいいだずげで! ゆっぐりざぜでよお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!」 「気になったんですがゆっくりするって何ですか?」 「そこっ! そこ重要なのだよきみぃ! この饅頭たちにとってゆっくりするということは自分の思い通りに事が進み、かつ欲求が満たされる事こそがゆっくりということ! つまりっ! 人間の本能と同じ作りになっているのだああああああああ!!」 やかましいので耳をさらにふさぐ。 なるほど、つまりゆっくりは本能のままに生きているというわけか。 「だが悲しい事に人間には理性というものがある、理性を保って生活している人間にとって本能だけで生きているゆっくり達とは相容れないものなんだ」 急に真面目な口調になり俺は吃驚した。 「いいまず! だがらだずげでぐだざいいいいいいいいいいい!! おねがいでずううううううう!!」 ついにだめになったのかまりさは助けを求めてきた。 自分のために仲間を売るとは、軍法会議ものだな。 「クークック、んじゃお前は元のところへー、ぽちっと」 ボタンを押してまりさはケースに回収される。 底辺が火傷して動けなくなったまりさは頬がグチャグチャになるまで泣いていた。 「どうだねぇ? 興味が沸いてきただろうぅ? ぜひまた私のところに来てくれたまえ! いま私は論文を書かなければならないのでね!」 そう言って追い出された。 なんだったのだ、あの人は。 訓練所に戻された俺は愕然とする。 的がすべてゆっくりになっていた。 しかもそれを兵士達が嬉々として撃ち殺している。 俺はめまいがしながらも、銃を手に取った。 あとがき おまけが本番だった。 所詮ゆっくりなんて戦争の道具か的が関の山だろ、な? ごめんこ。 パチュリーの名前はよく間違えるんだ、勘弁してくれ このアフォが書いた作品。 霊夢の怒らせ方 ゆっくりデッドライジング1~3 霊夢のバイト 慧音先生とゆっくり ゆっくりCUBE ゆっくりと男 虐待おねーさん 紫饅頭にクイズ出せば自滅してくれる 昔の遊び 書いた少尉(なんかのゲームで少尉止まり):神社バイト このSSに感想を付ける
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「ゆっくりの中では、どれが一番好きか?」 そう言い出したのは、友人A。 ゆっくりれみりゃが一番と言い出したのは、友人Bだった。 俺は、どのゆっくりも嫌いなので、どうでも良いと答えた。 「ゆっくりれみりゃ~? 可愛くねぇだろあんなの」 「いや、よーく見たら案外良いんだってw」 楽しそうに話し合う二人。 どっちでも良いと思う俺は、黙ってその様子を眺めていた。 1時間後……議論は過熱し、とうとうBがその辺にいたゆっくりれみりゃを捕獲してきた。 「う~う~♪ たべちゃうぞ~♪」 「良く見てみろよ、ほら、この『う~う~』言う時の仕草とか、可愛いだろ?」 「どこがだよ……お前、ゆっくりゃ食い過ぎて頭もそういうレベルになってきたんじゃねーの?」 「……いや、他のゆっくりと比べて可愛いっつってんだよ。別にれみりゃが一番って話じゃない」 議論は続く。 その後もこの部分が可愛い、服がババ臭いと部分ごとのマイナス・プラス点を挙げていき、更に1時間が経過した。 「だから、れみりゃが一番可愛いつってんだろうが! れみりゃだけは他のゆっくりとは別だ!」 「何言ってやがる、アイツはれみりゃじゃなくてゆっくりゃだろうが! れみりゃってのはおぜうさまの事だけを言うんだよ! そんな豚とおぜうさまは似ても似つかないだろうが!」 「うー…………こわいこわい、たすけてー……う”っ!」 白熱しきっている2人が恐ろしいのだろう、とことこと俺の方にやってくるゆっくりれみりゃ。 俺としては、ゆっくりれみりゃがどうなっても良いので、ABの方に蹴り戻した。 ――どうでも良いと思うんだけどなぁ。 ため息が出た。 「ここは良いんだよこのボケ!」 「うっせカス、そんなん良い訳ねーだろうが!」 「う”がっ、いだいいだい、さくやー!」 口調が荒くなってきた2人。 同時に力も入ってきているのだろう、ゆっくりれみりゃに指が刺さったりしている。 「んだとゴラァ! やるか!」 「やらいでか!」 「う”う”う”ぁぁぁぁぁぁがががぁぁぁぁぁ!!!」 ついには、大岡裁きの本当の親がどちらかってアレの様な状態になった。 AもBも全力で引っ張り合っているのだろう、ブチブチと音を立ててゆっくりれみりゃが半分になった。 「だから! お前の言ってるのは間違ってるんだって!!!」 「いーや、お前だね! ぷっでぃんとか言ってるのを見ると反吐が出るだろうが!」 「さくぶっ、うあー! だずぶぐっげ…………だずげでー」 「……!!!」 「…………!!!」 「……うー、あ……ごふっ」 にらみ合うアホ2人を眺めて、ため息が出た。 あ、半分にちぎれたゆっくりで殴り合ってる。 「どうでも良いけどさ、お前ら」 「「なんだよ」」 ゆっくりれみりゃの肉汁でテラテラと輝いた顔が二つ、同時にこちらを向いた。 同時に振り向く所を見ると、実は仲良しなのかもしれない。 またため息が出た。 「……そいつ、もう死んでる」 「「えっ!?」」 ずたずたになったゆっくりれみりゃをマジマジと眺める。 とっくの昔に死んでいた「それ」は、腕やら足やら、色々な部分の足りないぬいぐるみの様になっていた。 もはやぼろきれとしか言いようのないそれを投げ捨て、顔を見合わせる2人。 「「どうでも良いな! ゆっくりなんか!」」 笑顔になった2人は、仲良さげに肉塊を掃除し始めた。 今までのケンカは何だったんだ……。 ――まぁ、ゆっくりだしどうでも良いや。 アホ2人は放っておくとして、ようやく落ち着けそうだ。 「そういや、お前はどれが一番嫌いなんだ?」 「え? ……うーん……」 「……じゃあな」 またケンカが始まりそうだ。 被害を受けない様に、別のところに移動する事にした。 皆で仲良く、ゆっくり虐待していってね!!!
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森の中に入ると、そこには沢山のゆっくり達が蠢いていた。 「ゆっくり~~♪」 「ゆうゆう~♪」 その数およそ50、アリスやパチュリーも混ざっている。 「ゆ? おにーさんどうしたの?」 「ゆっくりできるの?」 近寄ってきたのは、ゆっくり霊夢・魔理沙・パチュリー・アリスの四匹だった。 「そうだよ。君達は?」 「れいむたちはこの群れのリーダーだよ!!」 「とかいはのありすがきちんとしてるからだよ!!」 「むっきゅ~!!!」 そうか。リーダーが居るのか、予定を少し変更しなきゃな。 「そうか、偉いなー!! 実はねおにーさんは料理人なんだけど、口の肥えているゆっくり達に味見をしてもらいたくて、食べ物を持ってきたんだ」 背中のリュックから沢山のお菓子を取り出す。 最初は四匹に食べさせてみる。 「ゆゆ!!! おいしーよ!!!」 「うっめ!! これめっちゃうっめ!!!」 「うん!! てぃーたいむにはさいこうね!!!」 「むっきゅーーー!!! ごはんごはん!!!」 気に入ってくれたようだ、作戦を進めよう。 「美味しかったかい。それなら、ぜひとも他のゆっくり達の意見も聞いてみたいんだけど……」 「いいよ!! みんなにたべさせるね!!!」 どうやら、群れと言う体系を取ってはいるが、根は純粋な野生ゆっくりの集まりのようだ。 四匹が号令をかけると、他のゆっくりが集まってくる。 「おいしーの?」 「わかるよーー!!!!」 「ちーんぽ!!」 数を調節して残さずに与える。 食う事には長けているゆっくりだ。 直ぐに全員が食べ終えた。 「ゆ!!! うぐぐ!!」 そして全員が苦しみ出す。 「わがらないよーーー!!!!!」 「ちーーーー……」 残ったのはあの四匹だけ。 「ゆゆ!!! みんなどうしたの!!!!」 「おきてね!!! まりさたちのめいれいだよ!!!」 「しえすたにはまだはやいよ!!!」 「むっきゅーーー!!!!」 なにが起きたのか分からないようだ、これが人になれているゆっくりだったら真っ先に疑ってくるものだが。 「もしかしたら、皆寿命だったのかも?」 「ゆ!! そんなことないよ!! まだみんなゆっくりできるよ!!!」 「でも、群れのリーダーのお前達は、曲がりなりにも体が強くできているんだよ。他のゆっくりはそれよりも早く死んじゃうんだよ」 「「「「ゆーーー!!! もっどみんなどゆっぐりしだかっだーー!!!!」」」」 我ながら変てこな説明だが、どうやら信じたらしい。 ここまで来ればあと少し。 「それじゃあ、キチンとゆっくりできるようにお葬式をしないとね」 「ゆ~? お葬式って?」 「死んだ後も、魂がゆっくりできるようにするための儀式さ。これをすれば死んだゆっくり達もゆっくりできるんだよ」 「そうなんだ!! おにーさんれいむたちおそうしきするよ!!!」 「まりさもやるーー!!!」 「どうすればいいの? れくちゃーしてね!!」 「むっきゅーーー!!!」 「いいよ、でもこれは君達がやらないと効果が無いんだ。分かった?」 「「「「ゆっくりりかいしたよ」」」」 そうして、俺は、ゆっくり達に指示を出していった。 最初に、死体を一箇所に集めさせる。 「ゆっゆ!!」 幸い、近くに大きな穴があったので、そこに落とさせた。 次に、四匹に灯油の入った容器を持たせ穴の上からかけさせる。 「ゆゆ? これなーに?」 「良く燃えるようにするのさ、火になってお空に飛ばすんだ」 「ゆゆ!! わかったよ!! みんなにゆっくりかけるね!!!」 最後に、ゆっくり達に蝋燭を咥えさせる。 「良いかい。ゆっくりできますようにってお願いしてから、その蝋燭を下に投げるんだ」 口の使えない四匹は、顔を上下に動かして答える。 そして一瞬の静寂の後。 「「「「……!! ゆっくりしてね!!!!!」」」」 四匹が一斉に蝋燭を投げ捨てた。 同時に、高く高く伸びる炎。 「ゆっくりしてねーーー!!!」 「みんなげんきでねーーー!!!!」 「みんなはありすのおともだちだよーーー!!!」 「むっきゅーーー!!!」 思い思いの言葉を叫び、その炎を見続ける四匹。 作戦は成功、時間もソロソロだ。 「……ゆゆゆ!! あづい!!! あづいーーーーー!!!!!!」 「どうして!!! まりさがもえてるよーーーー!!!!」 「わからないよーーーー!!!!」 「ちーんぽーーーー!!!!」 「「「「!!!!!!!」」」」 突然、炎の中から声が上がる。 ビックリした四匹が凝視すると、中では激しく蠢くゆっくり達。 そう、未だ生きていたのだ。 先程混入した毒は、致死量に達しなければ仮死状態から蘇生する。 数十のゆっくり家族に実験して、致死量を完全に把握した甲斐があった。 そして、穴の下はまさに地獄絵図だ。 「どーしでーーー!! しんだんじゃないのーーー!!!」 四匹も騒然となる、何せ今まで死んでいたのだから。 「ああああーーーー!!!!」 「ぎゃーーーー!!!」 「ぷっでぃ~~~ん!!!!」 「わがらなーーーい!!!」 「ちーーー!!!」 下では、本当にゆっくり達が死んでいく。 「たずけでーーー!!!」 「れーだー!!!」 四匹に助けを求めるように、必死に炎を纏いながら登ってくるゆっくり達。 「あ゛あ゛あ゛!!!」 「ゆゆゆ!!!!」 そのどれもが、途中で力尽きて火柱の薪となる。 上の四匹は、唯呆然と見ている事しかできない。 「……」 「……」 やがて声が聞こえなくなった。 全員がしっかりとやけ饅頭になったのだろう。 うん、満足。 早速帰って新しいメニューを考えよう。 「お前達が皆を殺したんだよ」 「……!! ゆーーーちがうよーーー!!!」 「れーむたじはやっでないーーー!!!」 「たがいはのありずはそんなごとしないよーーーー!!!!」 「むぎゅーーーー!!!!!」 そう言い残して、俺は麓へと降りていった。 このSSに感想を付ける
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「逃がすなー!追えー!」 「どうせ死なんのだから多少傷つけても構わん、必ず捕まえろ!」 「ゆ、ゆっくりにげるよ!」 真夜中の竹林を走る三人の男が追う先で必死に跳ねているのは白い髪に赤いリボンをつけたゆっくりだ。 ゆっくりの名はゆっくりもこたん、竹林でのみ稀に姿を見かけるといわれる幻のゆっくりだ。 非常に死にづらく食べると寿命が3年延びるといわれているがその存在が確認されたことは未だなかった。 「希少な新種を捕まえれば俺たちもうだつのあがらないゆっくり捕獲班からもおさらばだぜ!」 「気を散らすな!囲みこむぞ!」 「了解です班長」 班長と呼ばれた男が一気に飛び出してゆっくりもこたんを抜かすと同時に残った二人が左右に分かれ 足の遅いゆっくりは一瞬にして逃げ場をふさがれた。 「ゆ!?ゆっくりどいてね!」 「今だ確保――」 三方向から男がゆっくりに掴み掛かっろうとしたその時 竹と竹の合間から飛んできた数十枚の御札がゆっくりを囲むように地面に突き刺さり火を噴いた。 「ゲェー!?なんだこれはー!?」 「熱っ!熱ぅ!?」 「くっ!?」 「あついよー!ゆっくりできないよー!」 炎に驚き、男達は慌てて後ろに飛びのいた。 「かわいい小動物を二人掛かりとかタッグとか二人組で襲い掛かるのは感心しないね」 背景に月を背負って竹林の間から白髪の少女が姿を現した。 「いや、俺達三人…」 「くっ、この御札を投げたのはお前か!?一体何のつもりで…」 「ちょっとそこの丸っこいのに用があってね」 「ゆ、ゆっくりあついよ!ゆっくりあついよ!」 そういって少女は炎に囲まれてあたふたしているゆっくりもこたんを指差した。 「て、てめぇ横取りする気か!」 「ま、そんなとこさ」 その一言で男達の顔が強張る。 「…どうしてもそいつを渡さない気なら少し荒っぽい手段でそいつをいただくとしようか」 「男三人相手にちょっと術が仕えるくらいで女子供が勝てると」 「試してみる?」 少女がパチン、と指を鳴らすとその背中から炎が、まるで不死鳥の羽のように噴出した。 「ゲェー!炎の羽だとー!?」 「まさかこいつ…最近人里で噂になっている妖怪退治をしてるっていう…」 『かわいいかわいいもこたん!?(寺小屋の先生談)』 「もこたん言うな!」 少女が声を張り上げるのに呼応して背中の炎も一気に燃え上がり周りの竹に飛び火して引火し辺りは真昼のように明るくなった。 「くっ、撤収だ」 「糞っ、覚えてやがれ!」 「あーわかったわかった、何か困ったことがあったら連絡するよ」 少女に背を向けて男達は口惜しそうにその場を後にした。 「さてと、それじゃこっちの用を済ませようか」 また少女がパチンと指を鳴らすと御札が崩れ落ち、そこから出ていた炎はろうそくの火を吹き消すかのように消えた。 炎に照らされていた竹林は再び月明かりにうっすらと照らされると 慌しかった竹林に再び静寂が戻った。 「たすけてくれてありがとうおねえさん!いっしょにゆっくりしようね!」 ゆっくりもこたんの甲高い声がその静寂を台無しにした。 「言われなくても蓬莱人ってのはゆっくりしているもんだよ 先は長いんだから焦ったって仕方ないからね」 「ほーらい?おねえさんゆっくりできるひとなんだね! いっぱいゆっくりしようね!」 「あ゛づい゛い゛い゛!だずげでよ゛お゛お゛お゛お!!」 「おー効いてる効いてる、そーれりざれくしょーん」 火をつけられて体中を爛れさせながらもがいているゆっくりに少女は里で仕入れた甘酒をかけた。 「ぱぴぃーぱぴぃーぱぴぃー…ど、どうしてこんなことずるのおおおおおおおおおお!!!」 甘酒をかけられると瞬く間にゆっくりの傷は治っていき、すぐに喋れる様になった。 「いやー、最近輝夜に負けっぱなしでさ だから死なない奴にはどういうのが一番効くのか調べようと思って それで、油の中泳がされてから火を付けられるのと竹槍敷き詰めたところ歩かされてるところに上から踏みつけられるのどっちがキツかった?」 「どっぢも゛い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 「もー、それじゃあ色々やった意味がないだろ じゃあこれから火をつけるか竹槍で刺されるのとどっちが嫌かだけ教えてよ」 「!?…あ、あづい゛のは゛い゛や゛あ゛あ゛ああ゛ああ゛あ!ゆ゛っぐりでぎな゛い゛い゛いいい゛!!!」 熱いのが嫌というゆっくりの言葉を聞いて少女はニヤリとした。 「やっぱりなー死ななくたって熱いのは嫌だよなー 『最近輝夜が火とか蓬莱人に効く訳無いわよ、もっと別の戦い方覚えたら?』 とか言うからさ、ちょっと自信なくしてたんだよね でも全然効いてるじゃない、やっぱりあいつヤセ我慢してたのね この前フェニックス無しで戦ってみたのが馬鹿みたいだよ これからは前にもまして炎使いまくって骨も残らないぐらい火責めにしてやる!」 「ゆ、ゆっくりよかったね!それじゃあもこたんはひとりでゆっくりしてくるね!」 よくわからないながらも物騒な話を聞かされながらも少女がある程度の成果を得たらしいことを察してそのままその場を立ち去ろうとした。 「あー駄目駄目、これから目玉に指突っ込んでそのまま眼底突き抜けて脳みそ抉られるのと頭のてっぺん砕いて脳みそかじられるのどっちがキツいか試してみるんだから」 そういって少女はゆっくりの頭をむんずと掴んだ。 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!ゆ゛っぐりざぜで!!ゆ゛っぐりざぜでよ゛お゛お゛お゛!!!」 それから半日ほど経って、日が完全に昇りきったころ。 「ゆ、ゆ、ゆ、ゆ、ゆ…」 「あーあー、完全に何も喋れなくなっちゃった」 地獄のような拷問はあれから半日の間ずっと続いた。 ゆっくりもこたんが完全な不死ではないことをなんとなく悟った少女は、絶妙の手加減でゆっくりもこたんが完全に死ぬギリギリ手前で痛めつけ続けたのだ。 その結果、ゆっくりもこたんは完全に精神を崩壊させてしまっていた。 「そうだ、この前の三人組に聞いたらこれの直し方がわかるかも 増やし方とかもわかるかな、そしたらもっと色々試せるんだけど 今度あの三人のこと慧音に聞いてみるかな」 あんな仕打ちをしておいてケロッとして手を借りようとするこの手のひらの返しっぷり。 しかし彼女は決してちょっと前に武力行使で彼らを追い払ったことを忘れてしまったわけでは無い。 蓬莱人というのは元来過去のことは気にしない、膨大すぎて気にしていられないものなのだ。 少女はゆっくりもこたんを抱えると人里の方へと歩みを進めていった。
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331 :名無したんはエロカワイイ:2008/07/31(木) 10 59 58 ID fukPI9hM0 あー、ゆっくりで塊魂プレイしたい . . . . . . . . . . (なーなな ななーなーなーな なーなーななーな ずんずくずずんず どぅんどぅくどぅんどぅん) ---ゆっくりで塊魂--- 「……なんだこりゃあ」 魔法の森の近くをの小道を急ぎ足で歩いていた俺は、目を剥いた。 路上にゆっくりれいむが、ひと群れ。それ自体は珍しくもない。 おかしいのは、そいつらがベタベタとくっつきあって固まっていることだった。 「おまえらナニやってんの?」 「ゆっ、ゆぐぅぅう~」 「わかんないよ、くっついちゃったよ!」 「おにいさん、ゆっくり助けてね!」 バレーボール台のゆっくりれいむに、ピンポン玉ぐらいのやつがうじゃうじゃと八つか九つもくっついている。 たぶん家族だろう。母れいむはしきりに体をもぞつかせて子供たちを振り落とそうとするが、下手に動くと下側 の子れいむを潰してしまいそうなためか、思うように動けないらしい。 「ゆっ! ゆっ! んゅっッ! よーっはッとッ! へっぷほ!」 「おがあざぁぁん、おもいおもい!」 「つぶれるよ、ゆっくりうごかないでね!」 「……ぷっ」 その場で一人相撲をしているようなアホくさい母れいむの姿に、俺はふきだした。 「ぷっははははははは、ばっかじゃねーのおめーら、饅頭のお前らがそんなんなっちゃったら生きていかれねー だろ。ちょっとは考えて生きろよ!」 「そんなこと言わないでねぇぇぇぇ!」 母れいむは涙目でぶくぶく膨れる。ほっぺたの下のやつが潰されて悲鳴を上げる。 あー……。 陽気がすごいからなア。 おおかた家族でゆうゆうもたれあっているうちに、この猛暑で溶けてくっちいちゃったんだろう。 これは俺のせいじゃないからな。ゆっくりが勝手に苦労してるだけだ。 そばで眺めていたって、なんら罪ではない。 俺は、困り果ててぶるんぶるん回っているゆっくりれいむを、しばらく見物した。 ……十分ほどで飽きた。 「しゃーねえなあ、恨まれても寝覚めが悪いから、助けてやるよ」 「ゆっ、ほんとう?」 「さっさと助けてね! ふんふん!」 ナマイキなことをぬかしやがる母れいむを無視して、俺はそいつの頬に触れてやった。 ころん 「あれっ?」 母は後ろへ一回転する。「ゆべっ!」「うぎっ!?」と悲鳴を上げて子供たちがぺちゃんとつぶれ、母の肌に 張り付いた。 「何してんのお前、娘つぶれちゃったじゃん!」 「ゆぐぅぅぅぅ!? れいむの子どもがぁぁぁ!」 「じっとしてろよ、残った娘、殺したくないだろ?」 そう言って俺は、また手を伸ばした。 額に触れる。 ころんころんころん 「ゆぐぐぐぅ!」 母れいむは三回転した。その途中で石やら草やらも貼り付けてなんだか汚くなった。 「あっれぇ……」 俺は不思議に思った。 こいつ、ちょっと触っただけで、ボーリングの玉みたいにスムーズに転がりやがる。 なんか変なことになってんじゃないか……? ゆっぐゆっぐともがいている母れいむに歩み寄って、さらに押した。 ころころ、ごろろんっ 「ゆっぐりやめでねぇぇぇ!?」 「あは」 俺は笑った。 こいつ、坂を上ったぞ? しかも小枝や葉っぱをくっつけてさらに汚くなった。 ……これは面白い。 俺は母れいむの苦情を無視して、道なりにそいつを転がし始めた。 ころころん ころころん ころころころころん 一回押すたびに、五メートルほど転がって路肩で止まる。そのたびにそこら辺のものを吸いつけて、雪だるま のように大きくなる。 子供のころ、石蹴りってやったじゃん。 学校から家まで、これって決めた石をずっと蹴って歩いた。 別に石自体が好きなわけではないが、最初に決めたから、そいつを蹴り飛ばさなければならなかった。 そんな感じで、俺は目的地までひたすらころころと母を転がし始めた。 「やめでぇぇ!」 「ゆっくちちたいよぉぉ!」 おお、まだ子れいむも生きてんのか? 石やなんかでゴマ団子みたいにデコボコになった、五十センチほどの ゆっくり塊の中を覗き込むと、ちょうど他のものの隙間にハマったらしく、小さな赤いリボンの頭がぴょこぴょ こ動いていた。 「おまえ、運が良かったなあ。そこならずっと潰れないよ」 「はやくやめちぇねえぇぇぇ!」 「悪い、まだ二、三キロあるんだ」 母娘一匹ずつの悲鳴をBGMに転がし続けた。 少しいくと、面白いことが起こった。 川沿いに日光浴をしていた白黒のゆっくりまりさ家族。俺たちが近づくと振り向いて挨拶する。 「ゆっくりしていってね!!!」 「していってね!」 「しちぇっちぇね!」 次の瞬間、そばを通ったゆっくり塊に、そいつらは吸い寄せられた。 ひゅうん ぽぽぽぽむっ 「ゆっ!?」 「ゆっくりくっついたよ?」 「ゆっくりはなちてね!! はなちてっ! はなちぇはなちぇー!」 「ほう……」 俺は感心してあごを撫でた。 なるほど。 これではっきりした。ただの自然現象じゃない。母れいむは辺りのものを吸い寄せる力を身につけてしまった らしい。よく見れば外側の石やら木やらは、別段刺さってもいないのにくっついている。 俺がくっつかないのは謎だが、まあそんな細かいことはどうでもいい。 ひとつ、これがどこまで続くか試してみようか。 「よし、みんないっくぞー☆」 「やめでえぇぇぇぇぇぇ!?」 進めば進むほど、塊は大きくなった。道端にいたれいむ家族、木のうろから顔を出したぱちゅりー家族、通り すがりのちぇんやらん、近くを飛んでいたゆっくりゃやフランまで引き寄せた。八十センチ、一メートル、一メ ートル半。ゆっくり塊はどんどん大きくなった。 ひゅうん ぽむっ ひゅうん ぽむっ 「ゆっくりはなしてぇぇ!」 「はっはっは、そりゃ☆無理だ」 意味もなくハイテンションに笑いながら俺は答える。 これ、大きくなっても全然重さが増えない。 ころころと軽いままなのだ。不思議きわまる。 そして楽しい! 鼻歌を歌いながら俺は押して行き、目的地のアリス邸にたどりついた。 「ちわーっす、郵便です」 ああうん、言い忘れていたけど、俺配達人。肩掛けの郵袋も、これこの通り。いまどき徒歩で運ぶなんてレト ロだろう。 「あら、どうもありがとう」 玄関に出てきたアリスさんが微笑んだ。うむ美人だ。美人だらけの幻想郷の中でもこの人は群を抜いている。 いろいろ怪しい噂もあるが、そんなところも俺は好きだ。 そんなアリスさんが、俺の背後の塊を見てギョッとした。 「って、それは何!?」 無理もない。ゆっくり塊の大きさは、今では四メートルを越えている。 「ゆっくりはなしてね!」 「つぶれて顔がいたいよぉぉ!」 「いやっいやああぁぁ、れみり゛ゃぎらいーー!」 「うっうー! れみりゃを早くはなすんだどぉー!?」 数百のゆっくりがてんで勝手に悲鳴を上げている。驚かないほうがどうかしている。 「いやまぁ、なんといいますか、ただの拾いもんです」 俺はあいまいに答えた。 アリスさんは顔を引きつり気味にして、後ずさろうとした。 「な、なんだかわからないけれど、あんまり係わり合いになりたくないわね……きゃあっ!?」 ひゅうん ぽむっ 「おおお?」 俺は驚愕した。アリスさんまで塊に吸い寄せられ、くっついてしまったのだ。 「ちょっと、何するの! 離して、離しなさいよ!」 叫んどる叫んどる。美少女が拘束されて悲鳴を上げとる。 実にいい景色だ。――とか言ってる場合ではないか。 「すみません、それ外れないんですよ」 「なんですって?」 「俺が作ったんじゃないもんですから」 答えながら、俺はあることに気づいていた。 アリスさんのような有名妖怪まで引き付ける力があるのか、この塊は。 ということは―― もしかして、やりたい放題じゃないか!? 「……なーなな ななーなーなーな なーなーななーな ずんずくずずんず どぅんどぅくどぅんどぅん」 「なっ、なにを鼻歌なんか歌ってるの? 早くなんとか――」 「すんません。俺、ハジけます!」 「えっ? ってきゃあああああああ」 すってんころころ すってんころころ すってんころころ すってんころころ 俺は両手を使って勢いよく塊を押し始めた。 霧雨魔理沙、ゲット。 博麗霊夢、ゲット。 紅美鈴、ゲット。 「おいおいなんなんだこれはー! 霊夢、これなんだよ!」 「知らないわよ私だって、アリス、アリスー?」 「私は被害者よー!」 「離して、離してってば! 仕事中なのよ私は、このぉっ……ふんッ!」 「きゃあああああ!」 「ちょっこらっやめっ!」 「気功を使うなぁぁぁ!」 おーおーお、なんかビリビリしてえらい騒ぎになっとる。 そして当然―― 「ゆぎいいぃぃぃぃぃ!」 「いだいよぉおぉぉぉぉ!」 「皮がびりびりするよぉぉ!」 「んおおぉぉっ、んほっ、ほおぉぉぉぉ!」 ゆっくりたちも涙目で大騒ぎしている。中にはキモチよさそうなのもいるが。 ゆっくり魂の直径は六メートルになった。それでも止まらず、俺は幻想郷を駆け巡る。 「むぎゅぅぅ、苦しい……」 「咲夜、咲夜! 早く何とかして!」 「はっはい、ただいまっ! ふッ! ……時間を止めても外れない!?」 「ぴーっ、アタイこんなの趣味じゃないいぃ!」 なんか館の一部ごと飲み込んで、三十メートル。 「らんしゃま助けてぇぇぇ!?」 「ちぇぇぇん! くそっ、紫さま、紫さまぁぁ!?」 なんかよくわからないお屋敷みたいなものを巻き込んで五十メートル。 「うわあぁっ!? ちょっ、ちょっと今実験中よ!?」 「なんだこの……ハッ!」 「あちゃちゃダメです火はやめてください火は!」 「あっれー、これもしかして私が仕掛けたやつか?」 竹やぶと京屋敷みたいなもんをまるごと飲み込んで、百メートルつまり二十五階建てのビルぐらいになった塊 をころんころんと転がしていると、俺の目の前に来た兎耳の女の子が、ほっぺたポリポリかきながら言った。 おお、この人は。 「てゐさんじゃないスか。これ、あんたが?」 「昨日、ゆっくりに、いろんなものがくっついちゃう悪戯をして放り出しといたんだけど……」 「魔法の森の入り口あたりだったら、多分それっす」 「やっぱりかー」 「これ、どうしたら外れるんですか」 「それはねぇ……」 言いかけたとき、ぴゅうと風が吹いて塊がころころと転がった。 あ、あー……てゐさん、上のほうへ行っちゃったよ。 次いつ来るかわからんな。 というか、これがバラバラになったら、なんかただ事ではすまん気がする。 「ゆっくりさせでぇぇぇ!!」 「私もっ、私もゆっくりしたいわよッ!」 「このっ、もう我慢できない――マスタースパーク!」 「ゆぎゅぁぁぁ!」 「あっつぅぅぅこらっ魔理沙魔理沙!」 「ゆっぐぅうぅ、ゆぐぅぅぅぅ!!」 もう人間もゆっくりも関係ない。ひとつに丸まった人と妖怪と饅頭とガラクタの混合物が、もざもざわさわさ と動いて、悲鳴を上げたり、ビームを出したり、弾幕を放ったりしている。 「俺です」なんつったら、殺されるな、これは。 となると――。 「行けるところまで行くか!」 俺はさらにころころころころとゆっくり塊を転がし、幻想郷の森も川も山も湖も突っ切って駆け回った。ゆっ くり塊はどんどんどんどん成長して妖怪とゆっくりと人間を飲み込み、ついには直径一キロを越えててっぺんは 妖怪の山の頂上を越えた。 そのころ、とうとうゆっくり塊は浮上した。上のほうについた天狗やら虫やら何やらが、逃げようとして飛ん だためだろう。 「あー……」 空を飛んでしまったら、もう俺には手が届かない。 俺は若干の寂しさとともに、数ヵ月をともに過ごした巨大なゆっくり塊を見送ったのだった。 「達者でなあ。元気でなあー……」 それ以来、夜空に星がひとつ増えた。 オリオン座のあたりにまぶしく輝く「ゆっくり星」を見るたびに、俺はかつて幻想郷をにぎやかしていた美少 女たちとゆっくりたちを思い起こし、懐かしむのだった。 ====================================================================== YT このSSに感想を付ける
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「ゆっくりしていってね!!!」 目の前にゆっくりの一家がいた。 ゆっくり。 人語を解するが知能の低い、生きる饅頭。 その餡子は甘く、非常に美味であることから老若男女に人気のある食べ物だ。 しかし、畑を荒らすこともあり農業を営む者からは疎まれている存在である。 また、家に不法進入をしてきたり、その大きな声による騒音被害もあることから人間の里では害獣に指定されている。 「ゆ?ゆっくりしていってね!!!」 俺が何も返事をしないことを不思議がったのか、同じセリフを繰り返すゆっくり達。 大きいゆっくり霊夢が一匹と、小さなゆっくり霊夢が4匹。 大きいものはバスケットボールほど、小さいものはソフトボールくらいであった。 片親のようだ。 「君達は家族かい?お母さんは大きいれいむだけ?」 「ゆ!みんなれいむのあかちゃんだよ!!すごくゆっくりしたいい子達だよ!」 大きな霊夢、親れいむの話では、交尾した後すぐにもう1匹の親のゆっくり魔理沙は出ていったという。 自身と同じゆっくり魔理沙が生まれなかったためらしい。 なんというやり逃げ。 「れいむたちはゆっくりするよ!おにいさんもゆっくりしていってね!!」 俺が何も食べ物を恵んでやらなかったせいだろうか、興味を失った親れいむは野原でゆっくりし始めた。 俺もゆっくり霊夢なぞに興味はない。 ヘタに関わって付きまとわれたくないので家に帰ろう、と思った矢先、いいことを思いついた。 「なあお前ら、俺の家はここよりもっとゆっくりできるぞ。こないか?」 そして今、俺の家にはゆっくり一家がいる。 「ゆゆ!おにいさん早く食べ物を出してね!こどもたちがお腹すいてるよ!」 「ゆー!おにいさんはやくゆっくちさせてね!!」 「ゆっくち!ゆっくち!!」 当然、ゆっくりさせる気など毛頭ない。 俺は子れいむを2匹ずつペアにして、少し離したところに移動させた。 「ゆ?れいむの子供になにをするの?」 取り残された親れいむが不思議そうな顔をする。 もう用済みだから殺してもいいのだが、特に悪さもしていないゆっくりだったので生かしてあげよう。 それが生き地獄だとしても。 「お母さんれいむはどっちかの子供のほうに移動してね」 「どうしてなの?みんな一緒でゆっくりしたいよ!!」 「ご飯の前にはお風呂に入らないと。一度に5匹は大変だから2回に分けようと思ってね。先に入るほうと後に入るほうでわかれてね」 「ゆ!おふろ!れいむさきにはいりたい!!!」 「ずるい!れいむがさきだよ!!」 「おにいさんれいむたちをさきにして!!」 「そんなわけだから、お母さんれいむ、どっちかに移動してね」 そういうと、親れいむは特に不審に思うこともなく比較的近くだった子れいむの班へと移動した。 これが向こうの子れいむ達との今生のお別れだとも知らずに。 「よーし、じゃあお母さんがいなくても大丈夫なこっちのれいむたちからお風呂だよ!」 親れいむがいないことで少し不満がっていたので、おだててあげる。 単純な頭なのですぐにきゃっきゃと喜び始めた。 軽い体を持ち上げて、俺は奥へと歩きだす。 「わあ!おそらをとんでいるみたい!!!」 「すごくたかいよ!!」 もう生涯見ることのない外の世界を楽しんでいるようだった。 「じゃあここで永遠にゆっくりしていってね」 ここはお風呂場ではなく、台所。 そこに置いてあった鉄の箱に2匹の子れいむを投げ入れた。 「ゆ?おふろは?」 「ここはゆっくちできないよ!」 2匹の子れいむを入れてもあと5匹は入れるくらいスペースが余っていたので、あまり緊迫感がないようだ。 透明な箱ではないので、閉めると中の様子が見えないのだが、今回は好都合だ。 俺は子れいむ達の質問を無視して蓋を閉めた。 中から「ゆっくりあけて!」だの「暗くてゆっくりできない」といったことがかすかに聞こえるくらいだ。 鉄製だけあって、蓋を閉めるとあまり声は届かないみたいだ 俺は居間に戻り、残りの3匹達をさっきの2匹とは別のところに持っていく。 「ゆ?お兄さんここは何?」 「ここはお兄さんの家のお庭だよ」 つれてきたのは中庭。 塀で囲まれており、家の中からじゃないと入ることができない庭だ。 夏まっさかりの今日、中庭は背の高くなった雑草が生い茂りジャングルのようになっている。 「じゃあここで死ぬまでゆっくりしていってね」 ぽーん、と中庭に3匹のゆっくりを投げ込む。 「ゆ!?お兄さんお風呂はどうしたの!?こんなところじゃゆっくりできないよ!!」 「いちゃい!!ゆっくちさせて!!」 「ゆぅうう・・」 着地に失敗した子れいむ2匹が涙目になっていた。 「お風呂はないよ。君達はここで永遠にゆっくりするんだよ」 親れいむが俺に体当たりをしてきたので、全力で蹴り返す。 餡子を撒き散らしながら塀にたたきつけられ、そのまま動かなくなった。 「あら、死んじゃった?まあゆっくりしてけよ」 中庭唯一の入り口を閉じ、俺はその場を後にした。 夕方。 晩御飯の支度を終えた俺の足元には、先ほど子れいむ2匹をつめこんだ鉄の箱がある。 いよいよこれの出番がやってくる。 これは一言で言うなら、ゆっくりコンポストだ。 使用方法はとても簡単。 調理を終えた流し台の三角コーナーには、野菜のいらない部分や割れた卵などが入っている。 これを箱の中にいる子れいむ達に食べて処分してもらおうというものだ。 蓋を開けるとノンキに眠っている子れいむ達がいた。 「れいむ、ご飯を用意したよー!」 ご飯、その単語にピクリと反応し、すぐに目を覚ます子れいむ。 「ゆ!おにいさんはやくここからだしてね!ごはんもだしてね!!」 「おかあさんはどこなの!?はやくあわせてね!!」 お怒りのようだ。 しかし俺はこんなコンポスト達の相手をしているほどヒマではない。 子れいむに振り掛けるように生ゴミを入れた。 「それが君達のご飯だよ。これからずっとだよ。ちゃんと処分してね」 生ゴミにびっくりして何も喋らなかったのでそのまま蓋を閉めた。 ゆーとかやーとか騒いでいるが、さすが鉄製の箱だけあって3メートルも離れたら何も聞こえなくなった。 次の日、朝ごはんの用意で出た生ゴミを捨てようと蓋を開けると、昨日のままの生ゴミがそこにあった。 「ゆ!おにいさんれいむたちこんなのたべられないよ!!はやくだしt」 言い終わらないうちに生ゴミを捨て、蓋を閉める。 働かないコンポストの相手なんてしないものだ。 中庭に回ると、入り口の目の前で3匹が眠っていた。 親れいむは顔がぐちゃぐちゃに歪み、皮はずたぼろ、ところどころ餡子が飛び出しているが生きてはいるようだ。 こいつらは放っておけば勝手に働くだろうから、俺は放置して外に遊びに出かけた。 帰宅する頃にはもう夕方になっていた。 急いで夕飯の用意をし、生ゴミを捨てるためにコンポストの蓋を開ける。 すると、そこには子れいむ2匹の姿以外、特に何も無かった。 昨日と今朝の生ゴミは綺麗サッパリ消えていた。 さすがに育ち盛りの子れいむ達は、食欲に勝てなかったのだろう。 それに生ゴミと言っても、調理後すぐのものであったから腐ってはいなかったはずだ。 「よお、結局食べたんだな。おかわりを用意してやったぞ」 また振り返るように生ゴミをぶちまけ、四の五の言う前に蓋を閉めた。 ちらっと見た感じ、2匹はぼろぼろと泣いていた様子だった。 いきなり閉じ込められてゴミを食べさせられるのだから、その心境は分からないでもない。 どこからか、家に体当たりをするような音が一晩中聞こえていたが、俺はぐっすりと眠ることができた。 「おはよう。ゆっくりしているかい」 朝一番に中庭を訪れると、小さいながらもぷくっと膨れて威嚇する2匹の子れいむと、汚らしい皮の親れいむが待っていた。 「ゆ!おにいさんはやくここからだしてね!!れいむおなかすいたよ!!」 「おにいさんはゆっくりできないひとだよ!!ゆっくりしね!!」 「ぼべべびゅびゅっぼぼぼ!!!」 餡子を撒き散らしながら話す親れいむの言葉は理解できなかったが、とりあえず怒っているということだけは分かった。 子れいむを手にとると、若干痩せた感じがした。 「みんなはもう草刈りの道具だよ。早く草を食べてね!ご飯はそれだけだよ!」 こちらの班は、草刈りを目的としている。 草まみれの庭に放てば、食うものがなくなったゆっくり達は草を食べてくれるだろう。 育ち盛りの子れいむ2匹と、大きな親れいむがいれば、すぐに庭は綺麗になるはずだ。 「やだよ!!れいむ、にがいくさはきらいだよ!!」 「れいむもやだよ!はやくおいしいごはんをよういしてね!!!」 「ぶびっ!!!」 餡子が飛ぶ。汚いなあ。 「草を食べたくなかったら食べなくてもいいよ。お腹すいて死んじゃうだろうけどね」 その前に親れいむは出餡子多量で死にそうだが。 その後もゆーゆー文句を垂れる子れいむ達を置き去りにし、俺は扉を閉じた。 それから、3週間が経った。 ゆっくりコンポストはきちんと働いていた。 開始1週間ほどしたときに、子れいむ達がボイコットをしたこともあった。 生ゴミ以外の食べ物をくれ、くれるまで生ゴミの処理はしない、と。 俺は気にせず毎食ごとに生ゴミを投げ入れた。 2日もすると夏の暑さで溜まった生ゴミは腐臭を出し始め、どこに鼻があるのかもわからないのに子ゆっくりは悪臭に涙していた。 くさいくさいと涙ながらに許しを請う子れいむ達に、俺は一言、早く処分しろとだけ告げて蓋を閉じた。 次に蓋を開いたときには生ゴミは全て消えていた。 真っ青な顔をした子れいむ達を見れば、腐った生ゴミの処分がいかに大変かがよく分かった。 それ以来、腐らせることを極端に恐れ、生ゴミを入れるとすぐに食べるようになってくれた。 今、3週間前にうっかり捨てるのを忘れていたお弁当を、子れいむ達が必死で処分してくれている。 たまに嘔吐し、戻すこともある。 しかし、結局自分で処理しなければならないのだから一度で済ませばいいのに、と俺は思う。 これからも生ゴミの処理をよろしくね、そういい残し、俺は蓋を閉じた。 中から泣き声が聞こえたのは多分、気のせいだろう。 中庭も綺麗になった。 それこそ、最初の頃はニガイだの不味いだの文句たらたらだったが、いつしか諦めて黙々と食べるようになった。 そもそも野生のゆっくりは草や虫が主食なのだ。 何も問題はない。 それにコンポスト組に比べれば広い庭もあるし、子れいむにとっては親れいむもいるのだから幸せだろう。 それに家族だって増えている。 3匹では草が思うように減らないと感じ、おれはゆっくりアリスを加工所からレンタルし、強制的に交尾をさせ続けた。 そしてあっという間に3匹だった草刈り組は30匹へと増員された。 最近は近所で草刈りのアルバイトを始めた。 縄でつなぎ、リボンを人質にとって連日不味い草を食べさせている。 赤ちゃんゆっくりがわがままを言って草を食べない時は、見せしめに親や姉妹の前で皮を引き裂いた。 飛び散った餡子を食べさせると共食いを覚えてしまいそうだったので、一切食べさせることはしなかったが。 今日の出勤場所は、3丁目の田中さんの家だ。 リボンのない30匹のゆっくり霊夢を縄で繋ぐと、俺は家を後にした。 作:アルコールランプ このSSに感想を付ける
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※舞台は何故かゆっくりが当然のように存在している外界です。 数年前に突如現れ、急速に社会に浸透していった(ような気のする)ゆっくりと呼ばれる謎の生物。 人間の生首が膨張したような容姿のそいつらは饅頭のクセに生きていたり、どこから来たのは全く不明だったりとあまりに謎が多すぎるゆっくり達。 が、目新しいものや珍しいものを好む人々はその「ゆっくりしていってね!」とか「ゆーっ!」などと珍妙な鳴き声をあげる未知の存在をあっさりと受け入れた。 そして俺はそんな不思議に満ちた生命体の研究や飼育用の商品の開発に携わっている“ゆっくりカンパニー”のしがない一社員だ。 現在、俺はゆっくりの条件反射に関する実験を行っている。 実験内容は恐ろしく古典的なものでパブロフの犬そのまんま。 餌を与える前に音を聞かせて、実験体に内蔵された遠隔操作できるライターを点火するときにも音を聞かせる。 この実験で使用するゆっくりは生まれたてのゆっくりれいむの赤ちゃんが4匹。 赤ゆっくりれいむAには餌を与えるときにも、点火する時にも何の前触れもなしにいきなりそれらの処置を施す。 赤ゆっくりれいむBには餌を与えるときには何の音も聞かせず、点火するときにだけ録音した親の「ゆっくりしていってね!」という鳴き声を聞かせる。 赤ゆっくりれいむCには餌を与えるときに「ゆっくりしていってね!」という録音した親の鳴き声を聞かせ、点火するときには何の前触れもなし。 赤ゆっくりれいむDには餌を与えるときにも、点火するときにも事前に親の鳴き声を聞かせる。 つまり、「ゆっくりしていってね!」という音声に対して条件付けを行うのがこの実験の目的だ。 【実験開始】 赤れいむA 「ゆ~ゆゆ~、ゆぎゃっ!?」 仲間こそ居ないが遊具は十分に用意されている実験用のマジックミラーケージの中で機嫌良く遊んでいた赤れいむは俺が思いつきで点火した瞬間に短く悲鳴を上げた。 「ゆっぎゅりいいいいいい!ゆっぎゅりいいいいい!!」 突然、内側を火であぶられた赤れいむAの表情は苦痛と恐怖に歪んでいる。 「ゆううううう!ゆうううううう!」 大きな声で泣きじゃくり、跳ね回って助けを求めるが誰も助けになど来るはずがない。 「ゆううううう!ゆううう・・・」 痛みが引いたのか、それとも諦めたのかは定かではないし、この実験の趣旨とは関係がないので気にするつもりもないが、やがて泣くのを止めて再び遊び始めた。 しかし、親ゆっくりサイズのやわらかいボールに頬ずりしたり、滑り台から滑り降りたり、トランポリンに乗って跳ねたりしている様子に点火される前のような活発さはない。 「ゆー・・・ゆー・・・」 そんな見ているほうが虚しくなるような現実逃避じみた行動でも、30分も続けていれば遊びの楽しさが恐怖や孤独を慰めてくれるらしい。 「ゆ~、ゆ~ゆゆゆ~♪」 気がつけば内部を焼かれる前の元気さを取り戻していた。 それから1時間ほど1匹で遊んでいる赤れいむAを観察し、餌を与えてやる。 「ゆ!ゆっくり~!」 すると、お腹の空いていた赤れいむAは早速餌に飛びついた。 「む~ちゃむ~ちゃ、ちあわちぇ~!」 目に涙をためながら、本当に嬉しそうに餌を食べている。このタイミングで点火しようかと考えたが、変な条件付けが成立して食事をしなくなると都合が悪いので、それは次の食事に回すことにした。 10分ほどで餌を食べきった赤れいむAはしばらくその場でゆっくりしていたが、やがて眠くなったのかウトウトと舟をこぎ始めた。 そして、気がつけば「ゆぅ・・・ゆぅ・・・」と可愛らしい寝息を立てている。 が、食後の安眠は突然の痛みによって終わりを告げることになった。 「ゆうううううううう!?」 幸福を打ち砕く2度目の点火。唐突かつ理不尽な痛みに赤れいむAは思わず飛び跳ね、床を転げ回った。 「ゆぎゅううううううううう!ゆぎゅううううううううう!」 それから、さっきと同じようにじっと観察する。 「ゆぎゅううううううう!ゆうううううう!!ゆぅううう・・・」 先ほどより大分早く痛みから立ち直った赤れいむAは再び眠ろうとするが、なかなか寝付けない様子ですぐに目を覚ましてはぶらぶらとそこらじゅうを歩き回っていた。 恐らく、眠っているときにまた点火されることを恐れているのだろう。 幼い身で頼るものもいないたった1匹の世界に放り込まれた孤独なゆっくり。その様子を見かねた俺はケージの中に甘いチョコレートを放り込んだ。 「ゆぅ?・・・む~ちゃむ~ちゃ、ちあわちぇ~!」 赤れいむAは本当に幸せそうに口元が汚れるの気にせずチョコレートを頬張る。 その表情を眺めながら、俺は3度目の点火を試みた。 赤れいむB 赤れいむBはすやすやと寝息を立てていた。しかし、そのことは実験に何の影響も及ぼさない。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっきゅりしちぇっちぇね!」 何故なら、ゆっくりにはこの言葉を聞かされると反射的に返事をしてしまうからだ。 その行動は本能の領域に突入しており、食事中でも、睡眠中でも、交尾中でも反応してしまう。 「・・・?・・・ゆぅ?」 突然響き渡った声の主を探す赤れいむB。その様子を確認したところですぐさま点火する。 「ゆぎょおおおおおおおおおおお!?」 さっきの赤れいむA同様に痛みで悶絶する赤れいむB。目からは涙がぼろぼろと零れ落ちていた。 「ゆうううううう!ゆうううううううう!!」 これまたさっきの赤れいむAと同じように転げまわりながら助けを求めるが、当然のように誰も助けてはくれない。 その光景を俺は無感動に眺めていた。 不思議とさっきほどの罪悪感も同情の念も湧き上がってこない。 「ゆっぎゅちいいいい・・・ゆうう・・・」 これまたさっきの赤れいむAと同じように落ち着き始めると、せわしなくそこらじゅうを歩き始めた。 「ゆー、ゆー・・・」 しかし、この実験は条件付けをするためのものだ。落ち着いてきた頃合いを見計らって、再びあの音声を再生する。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっくりしていってね!」 音声に対して反射的に返事したれいむが再び声の主を探そうときょろきょろ首を振り始める。 「ゆっぎゅぢいいいいいいいいい!ゆぎいいいいいいいい!」 それからきっちり5秒後、躊躇うことなく2度目の点火を行った。 「ゆっぎゅぢいいいいい!ゆぎぃいいいいいいい・・・・・・」 俺は淡々と観察を続ける。やはり、赤れいむA同様に2度目のほうが立ち直りが早かった。 たった2例に過ぎない。しかし、一度目は誰かの助けを期待していて、二度目はその期待がない立ち直りが早かったのだと思う。 次のCとDでは点火時間を調整して、一方がより大きな痛みでも同様の結果を得られるのか確認すべきだろう。 「ゆっぐ・・・ゆっぎゅりいいいいいい・・・」 そんなことを考えている間に赤れいむBは痛みから立ち直った。もっとも、まだ呼吸は荒いが。 呼吸が整い、落ち着くのを待って今度は何の前触れも無しに餌を与える。 その匂いをかぎつけた赤れいむBはすぐさま餌に飛びついた。 「ゆ!ゆ~!・・・・・・む~ちゃむ~ちゃ、ちあちぇ~!」 赤れいむAもそうだったが、本当に幸せそうに餌を食べている。食べ方が少々意地汚いが、それもまた愛嬌なのではないだろうか? 「ゆ!ゆっくり~!ゆゆゆ~~♪」 そうしてお腹の膨れた赤れいむBは楽しそうに歌い始めた。 俺はその決して上手くない歌にゆっくりと聞き惚れ、それが終わると同時にあの音声を流した。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっくりしていってね!・・・ゆうううう!?」 3度目の正体不明の声。赤れいむBが声の主を探すよりも先に怯えだしたことを確認した俺は、5秒後に3度目の点火をし、次のケージに向かった。 赤れいむC 赤れいむCはケージの中で楽しそうに跳ね回っている。子ゆっくりサイズのボールがお気に入りらしく、その上に飛び乗っては、滑り落ちてを繰り返していた。 「ゆっゆゆ~♪ゆ~ん!ゆーっ!」 ポヨンっとボールに体当たりを仕掛けてはプニッと地面に着地する。実に可愛らしい。 俺は赤れいむCが跳躍した直後を見計らって、いきなり内蔵ライターを点火した。 「ゆっぎゅうううああああああああ!うううう!!ゆぎゃっ!?」 空中で突然の痛みに襲われた赤れいむCはボールにぶつかり、反動で弾き飛ばされて地面に叩きつけられた。 「ゆぎょううううううう・・・!ゆぎゅあああああ・・・!」 今までの赤れいむ2匹と違って床に叩きつけられた分のダメージがあるせいか、少しだけ口から餡子を吐き出してしまった。 しかし、致命傷には程遠いらしく、元気に地面をのたうち回っている。 「ゆううううう・・・ゆうううううううううう・・・」 それでもさっきの赤れいむたちと男歩同じくらいの時間であっさりと立ち直った。 「ゆぅ・・・」 とは言え、さすがに餡子を吐き出した分でぐったりしている。 このままでは次の点火の際に面倒なことになるかもしれないので、もう一つの実験も兼ねて例の音声を鳴らす。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっきゅりちちぇっちぇね!・・・ゆぅ?」 出所不明の声に困惑している赤れいむCのそばにさっと餌を落とす。 「ゆ・・・!む~ちゃ・・・むーちゃ・・・」 やはり吐血、もとい吐餡の分が効いているのだろうか。他の赤れいむより目に見えて食事のスピードが遅い。 「む~ちゃむ~ちゃ・・・ちあわちぇ~!」 それでも回復力が売りのゆっくりだ。存分に食事を堪能し終えたころには点火によって受けたダメージはすっかり消えてしまっていた。 そして、傷の癒えた赤れいむCは何をするでもなく地面に寝そべってごろごろと転がり始めた。 そこですかさず2度目の点火。非常にゆっくりしていた赤れいむCは突然の熱と痛みで飛び上がる。 「ゆうううううう!」 そして、これで6度目になる変わり映えのしない苦しむ姿を俺の前に晒した。 唯一つだけ違うことがあるとすれば、他の赤れいむたちの時にはすでに消えていたライターの炎が今もなお萌え続けていることくらいだろうか。 「ゆ゛き゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!?」 ざっと今までの3倍の点火時間。先ほどの点火とは比べ物にならないダメージを受けた赤れいむCは白目を剥いて床を転げまわっている。 口からは餡子と泡を吹き体中から妙に粘着質な液体が分泌されている。恐らく脂汗みたいなものだろう。 どうやらダメージが大きすぎたらしく、ぴくぴくと痙攣している。さすがに死なせるとあとあと問題になるので、蘇生のためにこっそりとオレンジジュースを飲ませた。 「ゆぅ・・・?う!?ゆっぎゅぢいいいいいい!」 意識は取り戻したがそれでもやはりまだ痛いらしい。またしても悲鳴を上げながら転がっている。 しかし、そのうち回復することは明らかなので赤れいむCの苦悶なんてお構いなしに再びあの音声を再生した。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっきゅりちちぇっちぇね!・・・ゆきぃいいいいい・・・!」 声の出所を探す余裕はさすがにないらしい。再び痛がりながら涙を流す。 が、餌を置くとのろのろと起き上がると、餌の元へと向かっていき、むしゃむしゃと食べ始めた。 「む~ちゃ、む~ちゃ・・・む~ちゃむ~ちゃ・・・ちあわちぇ~!」 ようやく食べ終わり、元気を取り戻したところで、もう一度あの音声を再生する。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっくりしていってね!」 その言葉の直後に誰かを探すのではなく、モノ欲しそうに辺りを見回す赤れいむCの姿が確認できた。 適当なお菓子をケージの中に放り込んで、赤れいむDのケージへと向かっていった。 赤れいむD このケージの中の赤れいむDに関してはとにかく『ゆっくりしていってね!』を聞かせなければ始まらない。 よって俺はそのケージの前に来た瞬間に中の赤れいむDの様子を確認することもせずに例の音声を再生させた。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっきゅりちぇっちぇね!・・・ゆぅ?」 ここまではほかの赤れいむと全く同じ展開だ。しかし、この後の展開はやや違う。 赤れいむDが返事してから5秒後に点火。ただし、通常の2倍の時間点火し続ける。 これ以上やりすぎると赤れいむCのときのように致命傷を与えかねないので、あくまで2倍程度に収めておいた。 「ゆぎゅいいいいいいいいいいいいいい!ゆぐうううううう!」 とはいえ、幼い身には十分すぎるダメージなのだろう。白目を剥いて必死に跳ね回っている。 「ゆぎょおおおおおおお!ゆぎょおおおおおおおおおおお!」 目からは涙がぼろぼろ零れ落ち、我を忘れて叫んでいるため口からは涎が垂れ流しになっている。 その様子を落ち着くまで観察し続ける。 落ち着くまでの時間は最初の2匹より若干長いような気もしたが、誤差の範囲内といった程度。 落ち着きくと、他の赤れいむ同様に弱りながらも逃避行動的な遊戯を始める。 滑り台で遊んだり、ボールとじゃれたりしているうちに徐々に心身ともに充実してきたらしく、やがて元気になった。 そこで二度目になる音声を聞かせる。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっきゅりちちぇっちぇね!・・・ゆぅ?」 またしても声の出所をきょろきょろと探している赤れいむDの近くにチョコレートを置く。 「ゆゆっ!ゆ~っ!」 これまた他の赤れいむと同じような反応を示し、元気良くチョコレートに飛びついた。 「む~ちゃむ~ちゃ、ちあわちぇ~!」 と、ここですかさず3度目の音声。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっきゅりちちぇっちぇね!・・・ゆぅ?」 5秒ほど赤れいむDが声の出所を探している様子を観察したところで2度目の点火。 「ゆぎぃいいいいいいいいいいいいい!ゆううううううううううう!」 どうやら白目を剥くのは危険信号だったらしい。他の赤れいむたちと同じ時間の点火ではその兆候は見られなかった。 と言っても、当然痛いものは痛いわけで。赤れいむDは呻きながら床を転げまわっている。 しかし、これまた他のゆっくりと大差ない時間で痛みから立ち直り、また遊び始めた。 立て込んでいるのでさっさと4回目。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっきゅりちちぇっちぇね!・・・ゆっ!?」 赤れいむDは明らかに警戒していた。怯えきった表情であたりの様子をせわしなく伺っている。 そうして警戒しているうちに俺が置いたお菓子の存在に気付き、元気良く食べ始めた。 で、食べ終えたところで5回目の音声再生。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっきゅりちちぇっちぇね!・・・ゆぅぅ?」 赤れいむDは喜ぶでもなく怯えるでもなく、その音にどういう意味づけをして良いのか分からず困惑していた。 それは他の赤れいむでは見られなかった反応だ。 俺はとっとと3度目の点火を行って、その場を後にした。 【1週間後】 赤れいむA いつ何時点火されるか分からない赤れいむAは他の赤れいむとは比較にならないほど衰弱していた。 点火回数は他の赤れいむと殆ど一緒だから肉体的にはさして他と変わりないはずなのだが、やはり常に痛みに怯えなければならない生活が堪えたのだろう。 しかし、それ以上に面白い発見があった。不思議なことに赤れいむAは滑り台を使わないどころか使おうともしないのだ。 理由は2度ほど滑り台で遊んでいるときに点火されたことがあるから。自分の中で勝手に条件付けを行っているらしい。 「ゆっきゅちーゆっきゅちー・・・」 弱々しく鳴きながらずるずると地べたを這いずる赤れいむA。 跳ねないのは跳ねているときに点火されて大怪我をしたことがあるからだ。 「ゆっきゅちちちゃいよー・・・」 虚勢を張って「ゆっくり」と鳴いていてもゆっくり出来ていないことは重々承知しているのだろう。 時々そんな悲しげな声が漏れる。 しかし、この赤れいむがゆっくりできる日は永遠に来ないだろう。 寝るときには、いつ痛みに襲われるか分からない恐怖で眠りが浅くなる。 食べるときも、食事中に点火されて窒息しかけた経験から急いで食べ物をかき込み、食べているときに点火された食材には怖くて口がつけられない。 遊ぶときにも、痛みを恐れで元気いっぱい跳ね回ることも滑り台で遊ぶことも、ボールと喧嘩することもできない。 ・・・いつ痛みに襲われるかわからないことを学習してしまった赤れいむには自由と余裕がなかった。 「ゆっぐ・・・ゆぅううううう・・・」 そして、何の前触れもなしに泣き出す。赤れいむAは情緒不安定になってしまったようだ。 赤れいむB 「ゆー!」 赤れいむBは殆ど鳴かなくなった。 少なくとも「ゆっくり」という言葉をあの音声が再生されたとき以外に口にすることはなくなっていた。 点火の際の痛みが「ゆっくりしていってね!」の直後に来ることを学習した結果だろう。 「ゆぅ!ゆぅ!」 しかし、それ以外の点では到って元気であった。 ボールにタックルして跳ね飛ばされたり、勢い良く滑り台から滑り降りてそのまま転がって行ったりと非常に楽しそうに遊んでいる。 表情も満面の笑みといった感じで、本当に楽しそうだ。 しかし、例の音声を再生すると・・・ 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっきゅりちていってね!・・・ゆぎいいいいいいいい!!?」 点火される前から気が狂ったんじゃないかと思ってしまうほど怯え始めてしまった。 きっと、赤れいむBは群れの中に放り込んだら“ゆっくりできないこ”として爪弾きに遭うだろう。 赤れいむC 「ゆっくりしていってね!」 赤れいむCはその鳴き声をきっちりと習得していた。 この子の中では例の音声は美味しい餌やお菓子と結びついているのだから当然だろう。 「ゆっくり~!ゆっくり~!」 が、その元気さのわりには動きは非常に慎重で、あまり跳ねることをしない。 恐らく赤れいむAと同じように、いつやってくるか分からない痛みに警戒しているのだろう。 「ゆっくりしていってね!」 元気良く鳴きながら自分より一回りだけ大きいボールに頬ずりして遊んでいる。 もちろんどんなに元気な声を出していても跳ね回ったりする様子は一切見せない。 「ゆっくり!ゆっくち!」 それでもこんな風に元気でいられるのは「ゆっくりしていってね!」という言葉を心の支えにしているからだろうか? もっともそれはある種の信仰に近いものであり、そんな高度な精神活動をゆっくりがするのかは少々疑わしいところだが。 そんなことを考えながら音声を再生した。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっくりしていってね!・・・ゆう~♪」 赤れいむCはその言葉が聞こえた瞬間、本当に嬉しそうに飛び跳ねた。 赤れいむD 赤れいむDには少し変わった変化が見られた。 「ゆっくりしていってね!」という鳴き声をきちんと習得したという点は赤れいむCと変わらない。 しかし、その言葉を聞かされた時の反応が全く違っていた。 『ゆっくりしていってね!』という音声を聞かされた赤れいむDはその場でじっと固まって動かなくなる。 そして点火された場合、その直前にしていた行為をあまりしないようになる。 逆に餌を与えられた場合にはその直前にしていた行動を積極的に行うようになった。 つまり、音声を自分自身に注意を促すものとして認識したが、餌とも痛みとも結びつかなかったということだ。 そして点火された場合は自分が悪いことをしたから痛い目にあっていると考え、餌を与えられたときには良いことをしたと考えているらしい。 だから、あまり美味しくない餌を吐き捨てたときにあの音声を再生してみた。 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっくりしていってね!・・・ゆ!」 その表情にはゆっくりらしからぬに緊張感があった。 3秒ほど様子を伺ってから、お仕置きの意味合いも兼ねて点火する。 「ゆぎゅううううううううううううう!ゆううううううううう!」 しばし苦しそうに転げまわるが散々味わって来た痛みであり、実験開始時よりは大分大きくなっていることもあってすぐに立ち直ると、むしゃむしゃとさっき吐き捨てた餌を食べ始めた。 【追加実験】 実験で使用した4匹を母親のいるケージに放り込んでみました。 「ゆ!れいむのあかちゃん!ゆっっくりしていってね!」 母れいむは1週間経ってなお赤れいむたちのことを気にかけていたらしく、非常に嬉しそうに挨拶をした。 「ゆっくちちちぇっちぇね!」 一度たりともその挨拶を聞いたことのない赤れいむAは舌足らずながらも本能に従って元気良く返事した。 「ゆっくちしていってね!・・・ゆぎいいいいいいいいいいいいいい!」 赤れいむBは母れいむから遠ざかり、ケージの隅で震えていた。 「ゆっくりしていってね!・・・ゆううう~!むしゃ!」 赤れいむCは満面の笑みを浮かべて母れいむに噛み付いた。 「ゆっくりしていってね!・・・ゆ!」 赤れいむDはキリッとした表情で固まっていた。 とりあえず、全員の内蔵ライターを点火しておいた。 【報告】 赤れいむDを見る限り、最も人間に従順なペットとしてゆっくりを調教するためにはとにかく痛めつけることが重要だと言えるでしょう。 ---あとがき--- この実験は点火なしで餌だけを与えて条件付けを試みないとあんまり意味がありません。 あと、特定の行動をしたときにだけ点火する形での悪戯に対する条件付けも行わないと意味がありません。 まあ、ノリだけで考えたアホ実験なので細かいところは気にしないでください。 byゆっくりボールマン このSSに感想を付ける